A3サイズ和紙 モノクロ印刷 白描画
摩利支天(まりしてん)は、仏教の守護神である天部の一つ。
日天の眷属。原語のMariciは、太陽や月の光線を意味する。
摩利支天は陽炎(かげろう)を神格化したものである。陽炎は実体がないので捉えられず、焼けず、濡らせず、傷付かない。
隠形の身で、つねに日天の前に疾行し、自在の通力を有すとされる。
これらの特性から、中世以降は武士の間で信仰され、戦場や武術の試合などの際に必勝を祈願した。
現在でも、摩利支天を祀る武道家は多い。
本図は、天台宗曼殊院本の摩利支天をもとに、新しく描き起こしたものである。
摩利支天は通常、天女相に描かれることが多いが、曼殊院本は男性的な面相である。
それは天台密教においては摩利支天を男天とする説があることが理由といえる。
装束は中国の道教の女神像によく描かれるものであるが、他にこれほど重厚に表現されることはない。
台座も龍頭の彫りものを備えた、荘厳さを強調したものである。