A3サイズ和紙 モノクロ印刷 白描画戦国時代の屈指の名将上杉謙信が、神として仰いだのが毘沙門天であった。毘沙門天(別名:多聞天)は、仏法で世界の中心にあるとされる須弥山の北方を守護する神で、財宝・子宝・戦勝の加護があるとされた。もちろん上杉謙信は、三番目に挙げた「戦勝の加護」がある神として、すなわち武神として毘沙門天を信仰したのである。上杉謙信は、神がかり的な戦勝を重ねるにつれて、やがて自らを毘沙門天の化身と考えるようになった。「我あればこそ毘沙門天も用いられる。我なくば毘沙門天もありえない。我を毘沙門天と思い、我が前で神文(誓約)せよ」と家臣に言ったそうである。 毘沙門天=上杉謙信に対する崇拝は兵士の間にも広まり、彼らは謙信が陣頭に立ち、“昆”の軍旗が翻れば、必勝を期して勇猛果敢に戦ったという。他に、足利尊氏や楠木正成らも守り本尊としていたとも伝えられる。この図は、上杉神社所蔵の毘沙門天図で、彼を守護した毘沙門天そのものである。